2024年1月28日に山口市道場門前商店街で開催された「山口クラフトマルシェ」は、地元のクラフト作家やアーティストの作品を販売するイベントで、今回は、VIVISTOP YAMAGUCHIが中心となって複数の屋台出店するイベントでした。
VIVISTOP YAMAGUCHIは道場門前商店街にある、あそびと学びのものづくりスペースで、子どもたち中心にレーザーカッターなどのデジタルファブリケーションツールを使ってさまざまなものづくりにチャレンジできるスペースです。2021年7月にオープンし、みんなのアイデアをもとにまちをつくってためプロジェクトを継続的に行ってきました。今年度は、みんなで熱気球の製作して打ち上げたり、商店街の空き店舗を使ってお化け屋敷を作るなど、多くのイベントが開催されました。この活動も今回で一区切りし、次年度からは運用形式がかわるろうそうで、これまでの常連の子供たちが中心となって手作りの屋台を出店しました。
この屋台イベントの最も注目すべき点は、地域通貨「マル」を導入していることです。子供たちは入場時に500マルを受け取りますが(大人は受け取ることができません)、屋台では100から300マルで様々な商品を購入したり、ゲームを楽しんだりできます。特筆すべきは、ゲームで良い点数を出すと、マルがもらえること、店舗で15分間店番をすると200マルもらえること、クラフトの店に指定されたクラフトを納品すると、その量によってマルがもらえることです。これによって、新たに貨幣の循環構造ができており、マルが無くなるとバイトしてまたマルを手に入れて再び買い物を楽しむということです。次第に、換金率が高いゲームが人気になってきたり、楽に作れるクラフト納品がはやったりしました。イベント最後の方では、クオリティー管理を怠った屋台では、出来の悪いキーホルダーがあふれかえっている店などがありました。
また、子供がやっているので、飛んでもない店が出てきました。それはVIVIホテルとうホテルままごとです。レストランや大浴場などがあり、子供たちが接客をしてくれます。バクチで稼いで風俗に使う、というまるで現実を風刺した様な展開です。
今回のイベントには、私の小学一年生の息子が通っている学童のシーカーズも屋台の出店者として参加しました。息子は準備に大変張り切っており、屋台の納品を子供にしては遅い時間まで行い、射的場の屋台のために射的台も準備しました。
彼の店は彼の頑張りとは反して、ゲームのルール設定をきちんと詰めていなかったのか、特に射的の景品などを用意していなかったため、客から苦情が出ました。そこでうっかり「点数制で換金されます」と口を滑らしてしまったので大変です。そんなに手元にマルを用意していなかったし、的が大きかったので、ゲームとしてもかなり簡単で、全くマルを返せません。散々遊んだ客は最終的にマルを払わずに怒って帰ります。仕切り直し手、景品無しの射的場として再開店です。運用していた息子とその友達は良い勉強になったでしょう。
イベントの最後は盛大に餅まきが行われ、ハッピーな感じで終わりました。
地域通貨を初めて利用する人にとっては、システムがとっつきにくいデメリットもありますが、今回のをとりいっれた屋台ごっこは、システムがシンプルでわかりやすいことで、本当にうまくいっているともいました。それは循環システムが分かりやすく、そして回転が速いことも、参加者の満足度を高めるため、成功のカギだと思います。
また、学校のような閉じたコミュニティーではなく、商店街という、様々な子供と大人が集まる空間で行ったこと、それと、それを受け入れる商店街とVIVISTOPの信用があってこそのイベントでした。VIVISTOPは一旦閉じてしまいますが、これを経験した商店街と子供たちが、今後どのように応用していくのかが楽しみです。