先日、家族で札幌国際芸術祭(SIAF2024)のオープニングにいってきましました。目的は、子供に雪遊びを楽しませつつ芸術に触れることでした。
4年前にも芸術祭の下見で札幌雪まつりを見て回りましたが、その時はコロナウイルスのパンデミックが始まる直前で、横浜港のコロナ患者を乗せた豪華客船のニュースが話題になっていました。そのニュースをサウナの大浴場のテレビで見たことが印象に残っています。
今回は、アルスエレクトロニカの小川秀明氏がディレクターを務め、「LAST SNOW はじまりの雪」と題された展示が開催されました。このタイトルは、コロナを超えた新たな始まりと、環境問題という視点から、会期後に大がかりにゴミが出るアートフェスティバルが終わりを象徴しています。会場は幾つか点在しており、全てを回ることはできませんでしたが、特に大通公園に隣接する会場はしっかりと観覧しました。
今回のビジュアルは雪の結晶が印象的で、スマホで確認していた際は、ベントレーのオマージュかと思いましたが、会場の大型バナーを見てCGによる生成だと気付きました。そこには、マルさんと呼ばれるキャラクターが登場し、今回のフェスティバルを象徴するデジタルアートと市民性を体現しています。マルさんのキャラクターが親しみやすい関係を作り出していました。
メイン会場は元劇団四季の劇場で、未来劇場という企画展が開催されました。劇場空間の真っ黒な背景に白や透明を基調とする雪と環境をテーマにした作品が展示され、照明によって一層印象的に浮かび上がっていました。札幌の冬の会場では、展示を見終わり、建物の外に出るとホワイトアウトした世界が広がり、無機質な人工物を覆い隠す雪景色が心をリセットしてくれました。
札幌国際芸術祭のコンセプトは、2014年に芸術監督を務めた坂本龍一氏の提案がベースになっているそうです。それは札幌の大自然と人間の営みについてフォーカスしています。
次の2017年は大友良英氏によって、坂本氏では実現しなかった市民参加プログラムなどを展開します。坂本=大友の流れは、ミュージシャンという視点に置いて同じ領域のアーティストです。これは茶道の世界で、千利休の流れを古田織部がアバンギャルドに変革したように、「音楽と芸術のあいだ」という手法で展開において、大友氏はよりアバンギャルドに変化していきます。
次の2020年は、コロナにより中止となりましたが、現代アートの文脈で再編成され、海外キュレータや女性キュレーターが起用されるなど新たな展開が模索されていました。
現在、芸術祭は世界的に変革の時を迎えています。COVID-19以降、環境問題が世界的に注目される中、エコロジーの視点からアートフェスティバルのあり方が再考されています。小川氏は、もともと冬開催は望んでいたわけではないと語っていましたが、自然資源的にも持続可能な芸術祭が望まれる中、市民や企業とのタイアップや、小学生たちとのプログラミングを使った作品参加など、コミュニティ形成に向けた新しい取り組みを展開しています。
以外にも、本芸術祭のプログラムとして北海道立近代美術館のキュレーターたちにようる常設作品の展示が展示されているのですが新鮮でした。
すみません。人の作品をとる趣味が無いので、ほとんど写真がありません。むしろ一番悪趣味のソニーの展示だけ撮影してました。紫外線フィルム貼らなければもう少しましなのに…