前回の投稿の分別ごみ箱デザインから考える社会 1の続編のゴミ分目別の現在のレポートです。
海洋汚染の原因の一つとして、プラスチックゴミとそれに伴うマイクロプラスチックの影響が指摘されています。これにより、プラスチックゴミに対する認識が急激に改まり、スーパーやコンビニでのレジ袋の有料化もその一環として一般化したことは日本ではよく知られています。
ゴミの問題で一番大きく言われているのは生ゴミです。焼却場で燃やす際に水分が多いほど燃えにくく、処理温度が低いとダイオキシンなどの有毒ガスが発生します。このため、水分量が多いゴミを処理する際には重油などを使用しますが、これが二酸化炭素の排出につながり、決して良い方法ではありません。市民がゴミを出す段階で分別を徹底し、水切りをしっかり行えば、これらの問題は十分に軽減できます。
このような環境への取り組みは徐々に意識されてきましたが、今後さらに徹底したゴミ分別が求められます。以下の写真は、環境をテーマにした絵本のために制作されたもので、一般家庭の1ヶ月間に出る家庭ゴミを並べたものです。右から細かく分別されていますが、リサイクルやリユースができないゴミは左端のごくわずかです。私たちが普段何気なく出している多くのゴミは、人の力でここまで小さくすることができます。
ごみの45分類
日本では、駅のホームなどでのごみ分類は「燃える」「カン」「ペット」の3種類が一般的です。「燃える」「燃えない」「カン」「ペット」「ビン」の5分類に加え、蛍光灯や電池といった特殊ごみが加わります。自治体ごとにプラスチックの定義が異なり、細かい分類が必要です。
多くの国では、リサイクルごみをデポジットシステムで回収しています。このシステムでは、回収センターにごみを持ち込むとお金が戻ってくる仕組みです。
ごみ処理に費用がかかるため、市民に徹底した分類を依頼する町もあります。徳島県上勝町はその一例で、45分類を実施しています。
徳島・上勝町「ゼロ・ウェイスト運動」
徳島・上勝町「ゼロ・ウェイスト運動」前編:リサイクル率81%を達成した小さな町の大きな挑戦
上勝町では、リサイクル率81%を達成した「ゼロ・ウェイスト運動」が行われています。ここではごみを45分類するため、ここまで分類を市民に求めると、購入時に捨てることを考えて買い物をせざるおえなくなります。
プラスチック製品についている分類
一般的には、三角のPETマークに1が表示されているPET(ポリエチレンテレフタレート)素材と、四角いプラマークのPET素材以外のプラスチックに分類されますが、三角マークは7まであります。
プラスチックにはさまざまな特性があり、温度に強いものや柔らかいものなど用途ごとに使い分けられています。
- #1:PETE/PET(ポリエチレンテレフタレート)主にペットボトル、水より重い
- #2:HDPE(高密度ポリエチレン)ポリタンクなど
- #3:PVC(ポリ塩化ビニル)サランラップなど、熱に強い
- #4:LDPE(低密度ポリエチレン)薬品に多い、水に浮く
- #5:PP(ポリプロピレン)お菓子の袋、伸びにくく手で裂ける
- #6:PS(ポリスチレン)スーパーのお惣菜パックなど
- #7:OTHER(その他)
プラスチック製品はリサイクルできますが、異なる種類のプラスチックが混ざるとリサイクル時に品質が落ちることがあります。プラスチックのリサイクルには新品を製造するよりもコストがかかる場合が多いです。また、鉄のような水平リサイクルは難しいとされています。近年、技術の改善が見られるものの、リサイクルを繰り返すと品質が低下する傾向があります。ペットボトルのリサイクルでは、リサイクル素材と新しい素材を混合して製造するのが一般的で、完全な水平リサイクルは少ないのが現状です。(セブンイレブンは2024年現在CMで水平リサイクルを実現とうたっていますが、そこにどれだけのコストがかかっているかは不明です)
リコーから「樹脂判別ハンディセンサー」が販売されており、熱したり水に沈めたりしなくても鑑定できるそうですが、エラーが多いそうです。
まとめ
今後の環境保護において重要なのは、単にゴミの分別を徹底するだけでなく、物を購入する段階からゴミになることを意識することです。上勝町の「ゼロ・ウェイスト運動」のように、45種類もの細かい分別を求められると、消費者は必然的に購入時から廃棄を考慮せざるを得なくなります。このような意識改革が、ゴミの削減とリサイクル率の向上につながり、持続可能な社会の実現に不可欠となるでしょう